病院決めの次は、手術日を決めることだった。
良性なので急がなくても良いとは分かっていたが、
私は聴力温存を希望していたので、
手術時点である程度の聴力が残っていないと聴力温存はできない、
ということは悩ましいことだった。
聴力温存とは、手術前と同じ聴力を維持することではなく、
たとえ聴力が低下しても、聞こえている状態であれば、
聴力温存というそうだ。
当初、腫瘍が大きく成ればなるほど聞こえなくなる、
と単純に考えていたが、インターネットで色んな症例を見ているうちに、
大きさと聴力は関係ないかも、と気づいた。
その事についてはっきり書かれた情報を見つけられず、先生に質問した。
腫瘍が大きくなるにつれ、
聴神経がその圧迫に耐えられなくなった時に
聞こえなくなるとのことだった。
そのため、腫瘍が大きくても聞こえる人はいるし、
小さくても聞こえない人がいる、と。
また、聴力の低下が徐々に進む人もいれば、
急に聞こえなくなる人もいる、と。
私は、治療を数ヶ月休んでいた、という後ろめたさもあり、
自覚症状が出た朝のように、
朝起きて突然聞こえなくなっていたら、
と考えてはとても不安になった。
タイミング良く身辺が整理できたので
1ヶ月後に入院することに決めた。